2014年3月24日月曜日

覆す力

3月23日は、名人戦 東京リーグ・赤坂2部 の試合をした。負ければもう本戦に出場できる可能性が無くなってしまうが、勝てば(他力ではあるものの)プレーオフとなるかもしれないから、私にとっては非常に大事なマッチだった。当然、気合が入っていた。
とはいえ、負けてもいいと思っていた試合などひとつもあるわけはなく、これまでのどの試合も勝ちたいなあと思っていたわけだ。その気持ちが強すぎると妙なことになってしまうのも薄々分かってきたので、とにかく自分の力を出し切れるよう、プレーに集中することを心がけた。

さて、お相手は若くて強い日野さんだ。結果的に4時間近くかけてようやく勝つことができたが、今回の学びは、これだけの時間を戦い抜く気力と体力が必要だってことだ。私は正直、マッチが終わった時には頭がボーーとなってしまった。それくらい消耗していたのだ・・・ リーグ戦に参加してよかったなと思うのは、このような気づきが毎回何かしら得られることだ。何事も経験ですな。

序盤は五分五分の展開だったのですが、じりじりと差が広がり、8-14 になったあたりでは、久保田さんとの試合のように、このまま負けてしまうかと記憶がよぎりました。しかし昨日は、ここで切れてしまうことなく、最後まで粘れたように思います。ラストゲームの最後のロールは、こちらが1絡みの目を振ったら負けだったので、本当に薄氷の勝利でした。マッチの分析はこれから棋譜入力してやってみます。


このあとも、赤坂に集うお友達と 2マッチしました。めろんさん、森内さんにお相手していただきましたが、いずれも大逆転で勝てた展開だったように思います。特に、森内さんとのマッチの終盤では、白の私が絶望的な局面になりました。スコアは5ポイントマッチ(白:3-4:黒)のクロフォード明けで、要はこれでもう終わりという局面です。ポジションは正確ではありませんが、確かこちらは4ポイントボードでも死にゴマがあって、仮にヒットしたとしてもクローズアウトできない感じでした。


黒の森内さんは次のロールでブロットの発生する61,51,41,31 を振らなければ何の問題もありません。かくして出目はこの8通りのどれかが出てしまい、私はすかさず1が振れたのでした。これだけを計算すると、

 8/36 * 11/36 = 6.8%

となりますが、XGによると、黒のロール前で白の勝率は2%以下です。つまり、ヒットしただけで即勝ちとはならず。やっと捕まえた一枚がしばらくダンスするなどの要素が必要です。

このような逆転劇は、確率に従って起きるので、「どうやったら逆転できるか?」と考えるのは、バックギャモンで無意味なのでしょうか?
サイコロの目は自由にならないので、出来ることといえば最大限の準備をして、少ないとはいえ、いつか訪れるチャンスに備えることだけですかね。
自分のボードをギリギリまでキープする。アンカーをギリギリまで外さない、なおかつ適切なタイミングで一枚飛び出すなり、スプリットする。そうして初めて、rare eventが起きた時にチャンスを拾えるってことでしょう。

こういう劇的なことが起きると、むしろ判断が狂ってしまうことがあるかもしれません。カーネマン先生の本にはそういうネタがいっぱい詰まってそうですが、それはもう少し理論を理解してからブログに書こうかと思います。

その前に、森内さんの「覆す力」を教えてもらいたいので、アマゾンでポチっとしておきました。

2014年3月12日水曜日

3ポイントマッチ オープニングゲームでのリダブル

3月9日は、四ツ谷例会に参加した。レーティング戦ではパッとしなかったものの、その後の「だあしゑんか」ではパーッと飲んでシュエットで楽しんだ。

例会では、今回も中村名人に指導していただいた。3ポイントマッチのオープニングゲーム。白の私はすでに2倍のキューブを引いていたが、終盤で黒の残りの一枚をヒットし、チャンスがやってきた。キューブアクション?


写真の通り、私はダブルしたのだが、いつものようにあまり考えずにリダブルした。この判断は合っていたのだろうか? 実際のところ、私はredouble-pass だろうと思っていた。黒がパスすると、白のマッチ勝率が75%だから、白の勝率がそれ以上あると思っていたわけだ。本当かな?

局面の理解は以下の通り:

  • ピップは白が+12 (白98-黒86)
  • ボードは、現時点で 白4ポイントボート:黒5ポイントボード
  • 次のロールで、白は良くて5ポイントボード 悪いと4ポイントボードでブロット残す

これだけ見ると、黒がパスするほどの優位性は無いように思われる。それでも白にはいい目が多いので、黒はギリギリパスなんじゃないかと思われたのだ。しかし、解析の結果は白がパスするラインに遥かに遠かった。

一手先の未来がどうなるか? 全部調べ上げるのは少し面倒なのだが、XGの便利な機能にようやく気が付いたので、簡単に列挙できました。(ここをサボってはいけない気もするが)

1st roll 1st move 2nd roll 2nd move Equity Lose Bg Lose Gammon Lose Single Win Single Win Gammon Win BG Rolled # of Dices
42 9/5 7/5 +0.808 0.1% 3.7% 28.9% 71.1% 7.3% 0.0% 2
41 9/5 7/6 +0.806 0.1% 3.7% 28.9% 71.1% 7.4% 0.0% 2
32 9/6 7/5 +0.806 0.1% 3.7% 28.9% 71.1% 7.4% 0.0% 2
62 21/15 7/5 +0.798 0.1% 3.7% 24.5% 75.5% 7.0% 0.1% 2
52 21/16 7/5 +0.798 0.2% 3.9% 24.7% 75.3% 7.2% 0.1% 2
21 9/8 7/5 +0.793 0.1% 4.6% 29.7% 70.3% 7.9% 0.0% 2
11,31 9/5 +0.768 0.1% 4.7% 30.7% 69.3% 7.1% 0.0% Yes 3
43 9/5 7/4 +0.750 0.1% 4.0% 32.8% 67.2% 6.5% 0.0% 2
64 21/15 9/5 +0.722 0.2% 5.7% 25.9% 74.1% 8.5% 0.1% 2
22 9/5 7/5 3/1 +0.720 0.1% 3.9% 33.6% 66.4% 5.2% 0.0% 1
54 21/16 9/5 +0.716 0.2% 6.0% 26.3% 73.7% 8.5% 0.1% 2
51 7/2 3/2 +0.342 0.2% 15.5% 44.6% 55.4% 4.3% 0.0% 2
44 9/5 7/3 6/2(2) +0.339 0.1% 4.6% 45.1% 54.9% 2.5% 0.0% 1
53 7/2 5/2 +0.334 0.1% 5.3% 45.1% 54.9% 3.0% 0.0% 2
66 21/9(2) +0.330 0.1% 9.8% 41.3% 58.7% 2.9% 0.0% 1
55 21/11(2) +0.242 0.4% 15.9% 42.1% 57.9% 3.7% 0.0% 1
33 21/15(2) +0.122 0.4% 20.0% 48.5% 51.5% 3.1% 0.0% 1
61 21/15 5/4 +0.059 0.7% 13.8% 52.9% 47.1% 3.8% 0.1% 2
65 21/16 21/15 +0.047 2.2% 25.9% 49.1% 50.9% 3.2% 0.0% 2
63 21/15 9/6 -0.047 1.4% 25.2% 55.2% 44.8% 4.5% 0.1% 2

このように、良い目と悪い目のグループが、かなりはっきりしています。良い目が、22通りで、悪い目が14通り。このグループの差が激しくて、ある意味次のロールがマッチの行方を左右する場面でもあったように思います。それゆえ、22/36 が、この局面での勝率に近いのだろうと思われます。

黒のテイクラインは、1away-3awayの勝率から考えればよいのでいいのですが、果たして白からは何%の勝率でダブルしてよいものでしょうか?
XG の cube informationを見ると、白からのdouble point が 45% になっています。勝率45%でダブルしていいとは思えないし、これをどう解釈したらいいものか、勉強不足でよく分かりません。


Score is X:0 O:0 3 pt.(s) match.
 +24-23-22-21-20-19------18-17-16-15-14-13-+
 | O  O  O  X  O  O |   |    O             |
 | O  O  O  X  O  O |   |    O             |
 |       O          |   |    O             |
 |                  |   |                  |
 |                  |   |                  |
 |                  |BAR|                  |
 |                  | O |                  |
 |                  |   |                  |
 |       X  X       |   |                  | +---+
 | X     X  X     X |   |                  | | 2 |
 | X     X  X  X  X |   | X     X          | +---+
 +-1--2--3--4--5--6-------7--8--9-10-11-12-+
Pip count  X: 98  O: 86 X-O: 0-0/3
Cube: 2, X own cube
X on roll, cube action

Analyzed in XG Roller++
Player Winning Chances:   64.47% (G:5.99% B:0.08%)
Opponent Winning Chances: 35.53% (G:9.10% B:0.36%)

Cubeless Equities: No Double=+0.258, Double=+0.600

Cubeful Equities:
       No redouble:     +0.541 (-0.059)
       Redouble/Take:   +0.600
       Redouble/Pass:   +1.000 (+0.400)

Best Cube action: Redouble / Take

eXtreme Gammon Version: 2.10, MET: Kazaross XG2